【初心者必見】独学でもパルクールはできる!|初心者が最初にやるべきことは?【安全第一】

近くにパルクール専用施設・パルクール教室が無くて困ってませんか?

「自分もパルクールやってみたい!えーっと、『住んでる地域 パルクール』で検索……あ、この辺じゃ教室とか施設は無いんだ……」と、悲しい理由でパルクールをスタートできない人はまだまだたくさんいると思います。
そういう格差を埋めるためにインターネットがあるんや!ということで今回は、
全くのパルクール未経験者が教室や専用施設を使わずに、安全にパルクールを始めるための手引き
について、パルクール歴10年以上の僕が経験談を交えながら解説していこうと思います。

自分は滋賀県出身です。
滋賀で十数年前と言えば当たり前(?)ですがパルクール教室や専用のジムはおろか、練習仲間も一人もいないところからスタートしました。
「地方に住んでてコミュニティに入れないし、情報もないよ~」という人の気持ちは痛いほどわかります。
この記事が、そういう方の手助けになればうれしいです。

ステップ1:YouTubeで上手な人の動画を見てみよう

まず、パルクールがとっても上手な人の動画をYouTubeで見てみましょう。
……ここでさっそく大事なことなのですが、上手というのは、「難しい技ができる」「危険なジャンプができる」ということではありません。
パルクールが上手というのは、基本的なことが安全に確実に出来ることを言います。
ようは、皆さんに良いお手本を知ってほしいということです。
無茶な動きや危険なアクションばかり見ていると、知らず知らずのうちにそっちに引き込まれてしまいます。
良いお手本を知っていると、自分の中で持つべき基準も良いものになりますから、その分丁寧で安全に練習できるようになります。

僕のオススメでは、
パルクールジムMISSION TOKYOでコーチを務めるユウタロウくん↓


女性だと、プロ選手の泉ひかりさん


なんかが参考になると思います。
「なるほど、上手な人達はこういう風に練習するのか~」というイメージを持ってもらえればと思います。

ステップ2:ウェアを準備しよう

「ウェア」なんてカッコ付けた言い方をしましたが、ようは運動できる服と靴を準備しましょうということです。
パルクールは道具が要らないので、唯一のこだわりポイントかも知れませんね。
最初のうちはとにかく動きやすさ重視がオススメです。
腕の動かしにくい上着や、伸縮性のないズボンは避けた方が無難です(危ないし、動きに変なクセもつきます)。
パルクールに使う服は意外とすぐ汚れたりボロボロになったりするので、その辺りも考慮に入れておくと、後で泣きを見ずに済みます。笑
最近は国内パルクールアパレルブランドというのも発足してきていて、
「Vaults101(https://www.vaults101store.com/)」「KAIT SITH(https://kait-sith.com/)」なんかが有名どころですね。
長年パルクールに携わってきたトッププレイヤーがディレクションしているので、きちんとパルクールのことを考えて作られている信用できるブランドです。

特に大事なのが靴です
上級者はサンダルや革靴や裸足でもへっちゃらですが、これからパルクールを始めよう、あるいはパルクールを始めたばかりだよという方は、必ずランニングシューズや動きやすいスニーカーを履いてください。
ケガの危険はもちろん、「あなたは靴のせいで損してるだけで、本当はそれできると思いますよ~」というもったいない遠回りをしている人もたくさん見てきました。
そういう意味でも靴選びはかなり重要なので、自分に合った履きやすい靴、履き慣れた靴を用意してください。

「パルクールに使う靴ってどんなのがいいの?」
「普段履いてるこれは?」
「家にあったこれで大丈夫かなぁ」
などの靴選びの疑問については、こちらの記事で徹底的に解説しております!→(https://idojutsu.jp/shoes/)

ステップ3:練習場所(スポット)を探そう

つぎは練習場所(スポット)を探します。
ここで「あのおっきい公園でいいや」「あそこならなんかできそうだな」とか心当たりがある人はかなりラッキーです。
そういうお誂え向きの場所がない人は、グーグルマップでちょっと調べてみて下さい。
自分では気づかなかっただけで、意外といい公園が近くにあったりする場合も多々あります。

どうしてもめぼしい場所が見つからない人は、最低限必要なモノが置いてあるかどうかを考えてみて下さい。
飛び降りれそうな高い場所や、大小いろんな形のブロック、大量のレールなんて必要ありません。
最初のうちは簡単な技や基本的な動作の練習に時間を費やすことになると思いますが、その段階でそんなに上級者向けのスポットがあっても上手く使えないと思います。
初心者のうちは、

  • 低い鉄棒が一本あれば、ヴォルトの練習には十分
  • 縁石くらいの低い段差があれば、ジャンプの練習はしっかりできる
  • 登れそうな手頃な壁なんてあったらそれこそ御の字

という感じです。(限られたスポットでパルクールをもっと楽しむためのアイディアについて、こっちの記事で紹介しています→https://idojutsu.jp/beginner/#toc_id_3)
そして、それらが全部まとめて同じ場所に無ければいけないなんてことはありません。
そんなスポットがあったらそれこそ奇跡!ですし、初心者のうちは色んな種類の動きを1日でたくさん練習するというのは、体力的に難しいと思います。
「今日はこの動きを練習したいからあのスポットに行こう」という感じで、やりたいこととスポットを合致させて決め打ちで練習に出かける人はかなり多いです。
「このスポットにはこれしかない」ではなく、「これがあるからこの練習がたくさんできる」という風に前向きに捉えることが上達の秘訣です。

ステップ4:スポット探しにはコツがある

スポット探しについて補足しておくと、

  • 地面は砂?草?コンクリ?(水はけの問題)
  • 近くにコンビニ、トイレ、自販機はある?(着替えや手を洗うのに便利)
  • 駅から近い?(あんまり遠いと疲れる)
  • 子どもがたくさん遊んでそうじゃない?
  • 人通り多そうじゃない?

この辺りは気を付けてチェックしてみてください。
地面が砂や草地だと、水はけの問題で雨続きの日にはまともに動けないことがあるかもしれません。近くにコンビニ、トイレ、自販機があると飲み物をすぐ買えますし、着替えにも便利です。
アクセスについては言わずもがなですが、出かけられる範囲でがんばって探してみて下さい。
特に重要なのは、

  • 子どもや親子連れがたくさんいないか
  • 人通りが多くないか

です。
時間帯によって、通行人や子どもがメチャクチャ多くてまともに動けない場所もあります。
そういうときに無理やり練習しようとすると、通行人や他の公園利用者の方とトラブルになったり、人とぶつかって大変な事故になる可能性もあります。
どうしてもそのスポットを使いたいという場合は、使う時間帯をずらすというのを作戦に考えてみて下さい。
早朝や午前中、夜だと使えるようになる場所もあると思います。
あと、これは僕の今までの経験則ですが、海や湖、大きな川沿いなどの水辺には良いスポットがある確率が割と高い気がします。笑

ステップ5:ウォーミングアップをしっかりやろう

練習開始!
まずはウォーミングアップをしっかり行いましょう。
運動の習慣がない人はもちろん、体力に自信がある人も、新しいチャレンジをする場合は自分の実力を100%発揮できるように、体をしっかり温めましょう。
具体的なウォーミングアップの内容についてですが、

  1. 体育の授業で行うような簡単な体操やジョグをする。
  2. 確実にできることからスタートする。ちょっとした段差に飛び乗ってみる、1mくらいの簡単な距離のジャンプをする、階段を駆け上がる、ステップヴォルトから始める、など。
  3. 体が温まってきたら、徐々に距離や高さや難易度を上げていく。自分のやりたいことにチャレンジ。

という感じです。
上の動画でやっているのが1と2ですね。
ワークショップに初参加の初心者の方から世界大会出場レベルのプレイヤーまで、この流れは皆んな共通だと思います。
パルクールではこれをやる!みたいな特別なウォーミングアップも特にありません(一昔前だと、四つん這いで地面を移動するモンキーウォークという動きがウォーミングアップの定番でしたが、あれは上半身がある程度のレベルまで鍛えられてないと手首の負担や筋力的な意味で結構キツいですし、特に女性は屋外だと手のひらを怪我する恐れもあるので、当サイトではあまりプッシュしていません)。

運動経験のあるなしに関わらず、ウォーミングアップでオススメしないことが一つあります。静的ストレッチ、つまり時間をかけてじっくりストレッチをすることです(上の動画ではちょっとやってますが)。
一口にストレッチと言っても、体を動かして反動をつけながらテンポよく小刻みに行う「動的ストレッチ」と、反動を付けずにじっくり行う「静的ストレッチ」があります。
静的ストレッチは体を柔らかくする目的で行うものなので、スポーツの前に行うと筋肉がたるんでしまって瞬発力が落ち、ケガもしやすくなると言われています(ダンスとかではまた考え方が変わってくると思いますが)。
前述しましたが、パルクールでは「ウォーミングアップが必要ないくらい簡単なこと」を、動的ストレッチの代わりに行うようなイメージですね。
動的と静的では目的が違うので、運動の前にじっくり体を伸ばすようなストレッチはやめておいた方が無難です。

ステップ6:初心者が練習すべき技は?


「パルクールやってみたいけど、最初は何から練習すればいいの?」
僕が思うに、初心者の方が最初に手を出すべき技は2つあります。

  • 着地
  • ヴォルト系

なんでこの2つかというと、この辺りが初心者にできることの中で一番安全かつパルクールっぽいからです!笑
でも、ふざけてるわけじゃありません。
楽しくないと続けられないと思いますし、最初は「パルクールやってる!」っていう気分を味わうのも大事だと思います。
昔はそれこそ「パルクールの為にはまず筋トレ!」「地面を四つん這いで歩くトレーニングを重点的に行ってください」「必ず着地から始めて」という厳しい不文律もありましたが、イマドキそんなアプローチでは流行るものも流行りません。
自分のやりたいことから始めてもらったらいいと思います。
自分のやりたいことを自分で決めてトライする方が、他人にやらされるよりも自分に必要なものがハッキリ見えてくると思います。
「この動きができないのはこれが足りないからだ、ここが弱いからだ」「じゃあこういう練習をしよう」という試行錯誤の過程がパルクールでは重視されます。
成功までのアプローチをアレコレ考えるところも楽しんでみて下さい。

着地

着地についてですが、これは安全のための必須科目です。
どんなスタイル、どんな取り組み方の人も、着地は必ず練習します。
これは車の運転で言うと、ブレーキの踏み方や安全な停車の仕方にあたります。
簡単なヴォルト程度なら着地が下手でもへっちゃらですが、「これから出来ることをドンドン増やしていきたい」「いつか宙返りも……」なんて考えてる方は、早めに練習を始めましょう。
完璧なものになるまで練り上げる必要はありませんが(パルクールに完璧はありません!笑)、危ないと思った時とっさに使える程度のレベルまでは練習しておきたいですね。
とはいえ着地ばっかりでもつまらないと思いますので、他の動きと並行してチビチビ進めていきましょう。

着地についての詳しい解説は現在準備中です。汗
もうしばらくお待ち下さい!

ヴォルト系

ヴォルト系を選んだのは、

  • パルクールっぽい動きだから
  • 初心者でも簡単に出来る動きがあるから

です。
ヴォルトというのは障害物を飛び越える動きの総称ですね。
ヴォルト系の技でいちばん簡単で、基本の動きになるのがステップヴォルトという技です。
大袈裟な名前がついてますが、要は「障害物に脚をかけてヨイショと乗り越える」だけです。
運動神経の良い人からすると「こんなもん誰でもできる」「これがパルクールの技なの?」と思うかも知れませんが、この技はいろんな場面で応用が利きますし、少し手を加えて派生系の動きにもできます。
本当に上手な人の動きは、ステップヴォルトだけでも見応えがあります。

人によっては、「壁系意外と出来るかも」「ジャンプ力に自信あります」みたいに初めからある程度の能力がある人もいると思いますが、そういう人も自分のやりたいこと、出来ることから楽しんでいってもらえればと思います。
ここに、プレシジョン系の動作やバランス系のトレーニングを混ぜるなど、万遍なく色んな動きに挑戦してみるのが上達の近道かなと思います。



学生の方や、血気盛んな方は「はやく宙返りがしたいんですけど、その辺の芝生とかで気合で出来るようになりますか?」みたいに考えてる方もいるんではないでしょうか?
やっぱり宙返りの練習は、施設で安全な環境を整えてからの方がいいですね。
よっぽど才能のある人は、屋内施設を一切利用せずにその辺の公園で宙返りをどんどんマスターしていくこともありますが、そんな人は稀ですよね。
パルクールジムや教室が無くても、体育館やスポーツセンターを個人利用で使ってYouTubeで講座を見ながら練習することも可能です。
お住いの場所の近くで探してみて下さい。

僕も高校生の時に「てかオレ前宙できんじゃね?」と謎の啓示が下りてきて、学校の砂場で前宙を無理やり練習してたことがあるんですが、その時に頭から落ちて傷めた左肩のケガは今でも完治してません。
間に合わせの環境で根性を頼りに練習すると、恐怖心が邪魔して不自然な動きになっちゃうし、正しい感覚やコツもわからないまま変なクセだけが付いてしまうというのが怖いです。
当然ケガのリスクもあります。
「本当にその環境でその技を練習していいのか?」ということを一歩踏みとどまって、冷静に考えてみて下さい。
興奮している時や、気持ちが浮ついている時に冷静な判断ができるかどうかは、安全かつ確実にレベルを上げていくうえで最も大事なことの一つです。(ケガを予防しながら安全にパルクールを続けていくノウハウについては、こちらでレクチャーしています!→https://idojutsu.jp/safety/)

ステップ7:練習のし過ぎに注意しよう

いざ練習を始めてみると、楽しすぎて時間を忘れて練習してしまうことが(頻繁に)あります。
とくに初心者の頃はそうですが、練習したい気持ちと体の疲労とのバランスが取れずにオーバーワークでケガをするということがあります。
練習してる時はなんともなかったのに、次の日起きたら足が痛い……みたいなことも全然あり得ます。
見えないダメージの蓄積はなかなか気づきにくいので、とくに初心者のうちは腹八分目で抑えるのが無難ですね。

僕もパルクールを始めたての頃、毎週何時間もぶっ通しでヴォルト系の練習をしてたらある日突然手首に激痛が走って、半年くらい箸もロクに持てなくなったことがあります。
その時は練習に夢中だったので腹八分でストップなんて考えませんでしたが、今思えば明らかなオーバーワークです。
あと、ほどほどで止めておいた方がモチベーションも保ちやすいです。
毎回ヘトヘトで疲労困憊というところまでいくと「こんなに疲れること、毎週できないヨ」と、練習が億劫になってしまう人もいるかも知れません。

  • 練習を切り上げる時間を決めておく
  • 気が済むまでやるのではなく「この動きを何回やる」と回数を決めて練習する

こういう風にあらかじめ制限を設けておくと、練習のしすぎによるケガの予防だけでなく、一回一回の動きを大切にできるようにもなると思います。
ノープランでダラダラと練習しても効率が悪いので、これで一石二鳥です。

番外:パルクールでやってはいけないこと

パルクールは、社会のルールとマナーを守って楽しむ分には素晴らしいスポーツですが、皆んなが好き勝手にルールを破って非常識なことをやり始めたら、どんな事になるでしょうか?
今まで自分が実際に見てきたことや、噂で聞いた話、パルクール界全体で議論の種になったトピックを例に出して説明しますが、パルクールにはやってはいけないことがあります。

  • 無茶をしない、させない
  • 公共物を破損・汚損する
  • 私有地に許可なく立ち入る
  • 商業施設の敷地内を利用する
  • 警備員や警官の指示に従わない
  • 他人に危険を及ぼすような行為をする
  • 往来の妨げになるような行為をする

パッと思いつくだけでもこれくらいあります。
どれも当たり前のことに感じるかも知れませんが、「はしゃぎすぎてつい……」というのはよくあるパターンです。
僕自身も、周りをよく確認していなくて、通行人の方にぶつかりかけたことがあります。
こういった事故やルール破りで怖いのは、自分がケガをすることではなく、相手にケガをさせてしまったり、物を壊して損害賠償を請求されたり、スポットが使えなくなったりする可能性があるというところです。
自分が調子に乗って勝手にケガをする分には自己責任の範囲で話が済むかも知れませんが、他人に迷惑をかけることになった場合、それは巡りめぐってパルクールの立場を悪くすることになります。
入ってはいけない場所に立ち入ったり、物を壊したり、通行人や近隣住民の迷惑になるようなことを続けていると、スポットが使えなくなります(いつものスポットにある日突然「パルクール禁止!」と書かれた看板が出ていたこともありました)。

今が楽しければいい、という気持ちも人間なのでわかりますが、それでも最後に困るのは我々です。
「自分は本当にこれでいいのか?」ということを一歩踏みとどまって考え、未来の自分が後悔しないような選択をしてほしいです。

まとめ

この記事では、独学でパルクールを始めるための手引きを説明してきました!
もう一度、ポイントを確認しておくと……

1.良いお手本を探す。YouTubeでプロのプレイヤーのコーチング動画を参考にしましょう。

2.動きやすい服装、靴を準備する。靴選びについてはコチラの記事で詳しく解説しています!→https://idojutsu.jp/shoes/

3.練習場所を探す。何もかもが完璧にそろったスポットなんて、滅多にお目にかかれません。たとえ小さなスポットでも、その日練習したいことができるならOKです!

4.ウォーミングアップをしっかり行いましょう。体が温まっていないと本調子が出せないだけでなく、ケガの原因にもなります。

5.最初は着地の練習から始めるのが安全でオススメです。簡単なヴォルト系とかもお手軽で良いです。宙返りは、マットが使える環境じゃないなら、やめておいた方が無難です。

6.初めのうちは、ほどほどで練習を切り上げる習慣をつけておくとケガしにくいです。時間や回数を決めて、効率よく練習しましょう。

7.社会のルールやマナーを守りましょう。パルクールのイメージが悪くなって困るのは、僕たちです!

ポイントとしては、どれも基本的で当たり前のことです。
そして、当たり前だからこそ、ついついおざなりになってしまうこともあると思います。
情報がまとめてあると、自分の中で注意すべきことが整理しやすいのではないでしょうか?

独学でパルクールというと敷居が高く感じるかもしれませんが、正しい手順を踏めば十分楽しめます。
慣れてきたら、ちょっと遠出をしてイベントやワークショップに出かけてみると面白いですよ。
各地域ごとにパルクールの特色みたいなものがあるので、良い刺激になると思います。
それでは、よいパルクールライフを!